上海でのトリウムエネルギー会議
Thorium Energy Conference 2012

トリウムエネルギー会議は、トリウム熔融塩炉などのトリウム原子炉とトリウムサイクルをテーマにした国際会議である。2012年10月29日から11月1日まで、IThEOという欧州の民間団体とCAS/SINAP(中国科学院/上海応用物理研究所)の共催で、中国・上海市内のホープホテルで開催された。

 中国は2011年にトリウム熔融塩炉の開発を公式発表し、世界を驚かせた。しかし、その後、国際会議や雑誌などでの発表は殆どなく、実態が公になっていなかったが、今回の会議でその概要が明らかになった。会議参加者は約120名で、米国や欧州各国など海外の十数カ国から約40名、中国から約80名であった。2010年に筆者らが参加したロンドン会議は約60名の参加者だったので、実プロジェクトを進めている中国SINAPでの開催は関心が高かったと見える。例えば、英国からは国会議員を始め約10名が参加していた。

 中国科学院の本会議への協力は大したもので、江沢民元国家主席の子息の江?恒博士(中国科学院上海支部長)が冒頭演説を行ない、徐洪杰博士(SINAP前所長で熔融塩炉開発センター長)が冒頭挨拶の他に、計画の概要を講演した。また、大勢のSINAPスタッフが会議進行に協力しており、そのおかげで大変スムースな会議運営であった。

 合計38件の講演の内、約半数が熔融塩炉関係であり、残りは、固体トリウム燃料炉と、ADS(後述)などである。中国のトリウム熔融塩炉開発計画に関して、当NPOは今まで、SINAPとの数度の打合せで聞いていたが、国際会議で、徐博士や各研究チームから研究の進捗状況が説明されたのは始めてである。トリウム熔融塩炉は米国オークリッジ国立研究所で1960年代に実験炉が建設・運転されたとはいえ、50年前のことである。SINAPはこれらの成果を踏まえて、キーとなる要素技術を着々と開発しており、例えば、熔融塩ループを既に自国技術のみで建設・運転していることや、気体状核分裂生成物の分離装置の実験に成功していることなどからも、そのことが伺えた。また、吉岡理事長の発表に関しては、熔融塩固化事故・凍結弁事故についての評価が必要、との認識が得られた。
会議案内や講演者のPPTなどは下記サイトに掲載されている。http://thec12.csp.escience.cn/dct/page/1

 SINAPは中国で最大の科学施設と言われるSSRF(シンクロトロン放射光施設)を建設した高い技術を持つ研究所である。会議3日目にはSSRF見学会が開催された。


SINAPは1970年代初めに固体のトリウム塩を用いた臨界実験炉を建設・運転したことがあり、トリウム熔融塩炉とは因縁浅からぬ研究所である。現時点で約400名の研究者がトリウム熔融塩炉の開発に従事しており、3年後に700名に増員するとのことで、中国側の力の入れ方が分かる。

 中国の熔融塩炉計画は、黒鉛減速・オンライン再処理なしの小型炉を主眼とし、初期燃料の233Uは、平行して開発するADS(陽子加速器によりトリウムから233Uを製造するシステム)で大量製造するとしていて、中国科学院・近代物理研究所の王志光博士が約200億円の予算で研究中との計画を紹介した。これらの構想は、日本の小型熔融塩炉FUJI計画と燃料サイクル概念THORIMS-NES計画と類似している。

 SINAPの最初の実験炉(熱出力2MW)は黒鉛被覆固体燃料・熔融塩冷却という設計で2017年に臨界の予定であり、今後の5年間に約300億円の予算で開発を進めている。なお、平行して開発を進めている本命の熔融塩炉型の実験炉(熱出力2MW)は2020年に臨界の予定とのことである。

次回の会議は2013年10月にジュネーブにてCERN(欧州原子核研究機構)との共催との事である。
(2012/12記事)

 IThEC12(トリウムエネルギー会議)風景






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