3.6. 核廃棄物について
 長寿命放射能核種の超U元素(Pu・Am・Cmなど)がほとんど生成されず、逆にそれらを燃料塩に溶かし有効利用しつつ消滅処理が可能です。種々のアクチナイドや核分裂生成物の一部も炉内からほとんど分離不要で、炉内自然消滅を推進できて、高レベル廃棄物問題は大きく改善できます。それらの中性子による積極的消滅作業は、中性子(=核燃料)の充分余剰となる核産業後退期(2080〜2130)に溶融塩燃料サイクル内で経済的に遂行できるでしょう。
 固体燃料でないので、その製造・検査・輸送・取替え・解体・再処理・再加工が不要で、運転保守作業量が減って、低レベル廃棄物の発生量は圧倒的に少なくなるでしょう。廃炉後の廃棄物中では、黒鉛量が多いが管理し易く、一部は汚染表面を 0.1mm削って再利用できます。Ni合金は数年放射能を冷却した後、再溶融・利用できます。

なお、核分裂を利用する限り、核分裂生成物(FP;Fission Product;いわゆる死の灰)が生成します。これらは強い放射能を出しますが、強い放射能とは、半減期が短い元素によるもので、例えば福島事故で問題となっているセシウムの半減期は約30年です。これらは人間社会で管理できる年数で減衰します。つまり、数万年以上の半減期の長寿命核種が重要な問題なのです。
なお、熔融塩炉は熱効率が軽水炉より3割高いので、同じ発電量で比べると、FPの発生量は軽水炉より3割少ない、という特長があります。


3.7. 核不拡散・核テロリズムについて
 ガンマ線が弱く監視困難なプルトニウムなどがほとんど生成しないので、この問題を大きく改善できます。運転中の燃料塩から233Pa(半減期27日)のみを手早く化学分離し、純粋な233Uを造る事は原理的に可能ですが、高放射能で極めて実行困難です。我々の溶融塩炉内で造られるUには必ず232Uが随伴します。232Uからは核壊変の結果、2.6 MeVという異例に高いエネルギーの極めて強いガンマ線を出す208Tl(タリウム)が生まれます。このガンマ線は、鉛25cm、コンクリート1mをも貫通し、容易に致死量となります。
 燃料サイクル内のUは、常に232Uで充分に汚染されています。また、必要であれば天然のU(238U)で20%以下に稀釈変性し、核爆発不能にもできますから、軍事的・テロ的利用に不向きで、監視・検知などにも決定的に有利です。


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