熔融塩炉の起動時の中性子源について

軽水炉の初起動時には外部中性子源が必要です。
一般には、Sb−Be(アンチモン124からのガンマ線をベリリウムに当てて、中性子を生成させる)や、Am-Be(アメリシウム241からのアルファ線をベリリウムに当てて、中性子を生成させる)や、Cf(カリフォルニウム252)の自発核分裂によって発生する中性子)を用います。
但し、外部中性子源は原子炉起動時の1-2年のみ使用し、その後は炉内で生成するPu240の自発核分裂によって発生する中性子(106/sec/kg)が利用できるので、外部中性子源は取り外します。


熔融塩炉の起動時には、燃料の種類によって、以下の3ケースが考えられます。

低濃縮ウラン炉心[Ref.1] @低濃縮ウランに含まれるU234などはアルファ線を出し、熔融塩中のF(弗素)およびBe(ベリリウム)と核反応し、中性子を生成します。
20万kWeのFUJIクラスの熔融塩炉の場合、106n/secから107n/secと推測されます。


その他に、U238の自発核分裂によって発生する中性子があり、FUJIクラスの場合、中性子発生数は104n/secから105n/secと推測されます。
プルトニウム炉心 Aプルトニウム炉心として起動する場合は、Pu240の自発核分裂による発生中性子が利用できます。
Pu240重量はFUJIクラスの場合、100kg以上なので、108/sec以上の中性子が発生します

U233-Th炉心
[Ref.2]
B将来、ADS(加速器)によりU233を生成し、Th(トリウム)と共に熔融塩炉に使用する場合は、U233がアルファ線を出し、熔融塩中のFやBeと核反応し、中性子を生成します。
100万kWeのMSBRの場合で、107n/secの中性子発生がある、と試算されています[Ref.2]


以上、どの炉心の場合でも、外部中性子源は不要と考えられます。


[Ref.1]:ORNL-TM-0730「MSRE Design and Operation Report, Part-3, Nuclear Analysis」

[Ref.2]:ORNL-TM-1833「Safety Program of Molten-Salt Breeder Reactors」




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