バックエンド研究会・質疑応答の概要


質問)このトリウムを用いた熔融塩炉は実現の見込みはあるか。
答え)1960年代に4年間ではあるが(無事故で)動いた実績があり、技術として実現性が確かめられている(トリウムからつくられたウラン233で稼働)。これらの結果は報告書として公開されているが、40年前であり、実際に建設・運転するには人の問題、すなわち技術者育成が必要である。特に30年間の連続運転を保証するには、実機を運転し、技術を成熟させる研究開発が必要(注1)。

質問)原子力比率ゼロを選択すると人材が維持できなくなる恐れがある。実現性があって夢のあるテーマが必要だ。

答え)トリウム・熔融塩炉は、原子力エネルギーに希望を与える技術である。この開発には、もんじゅなどナトリウム冷却原子炉の技術が転用でき、原子力機構の人材の転換、活用が可能である。原子力機構には、人材だけでなく施設も、熔融塩炉開発を進めるためのすべての要素が揃っている。

質問)熔融塩炉はなぜ燃料交換が不要なのか。途中で廃棄物を処理するのか。

答え)トリウム熔融塩炉(古川・三田地の設計)は、トリウムをウラン233に変える転換率が1であり、消費した燃料と同量の燃料が生産され、燃料交換が不要。もし万一燃料不足が生じた場合は、任意の時期に液体として継ぎ足すことができる(注2)。

なお、現在の設計では、原子炉寿命の途中で何度か熔融塩中の廃棄物を処理することを前提としているが、転換率の若干の悪化を許容するなら、30年間運転した最後の廃炉時にまとめて処理する案も考えられる。

質問)使用済燃料から熔融塩炉につなげる処にどのような処理が必要になるのか。

答え)チェコで研究開発が進んでいる(パワーポイント資料p22を参照)。燃料棒(その中の燃えカスを含んだ酸化ウランペレット)をフッ素で処理。そして燃え残りのウランやプルトニウムを取り出して熔融塩炉の燃料とする。

この技術は水を使わず、「乾式再処理」という。六ヶ所村の再処理工場は水をつかう湿式である。乾式の再処理技術は、塩化物をつかう方式で電中研や原子力機構で技術開発が進んでいる。トリウム熔融塩炉ではフッ化物をつかうが、塩素をフッ素に切り替える変更は大きな技術障壁ではない。

乾式再処理は、水を使わないことで沸騰の問題がなく、臨界管理でも溶媒を薄める必要がなく、廃棄物量の低減が可能で、施設を小さくできると考えられている。


質問)燃える元素を取り去った後に、最後に残るものは何か? 廃棄物は今の(ウラン・プルトニウム原子力と)同じではないのか? 

答え1)塩化物では放射性元素を固定化し、長期保存ないし処分する技術開発が進んでいる。フッ化物でも同様な固定化技術の開発は可能と考える。

答え2)トリウムを用いると、プルトニウムなど(ウランより原子核が重い元素)は殆ど出来てこない。それ以外(軽い元素の燃えカス)は、数万年ではなく、数百年(千年以内)で放射能の危険性(ハザード指標)が天然ウランの鉱石レベルまで低下する。千年ならば鎌倉時代。管理できる時間範囲と考えられる。

質問)例えば30年間炉が稼働した後、その炉はどうするのか。

答え)原子炉のなかの核物質(核分裂性のプルトニウムやウラン233)は、できるだけゼロになるように運転する。設計で考慮していく。残った燃焼廃棄物は、軽水炉の使用済み燃料と同じように処理する。

すなわち、放射性廃棄物の処理には、群分離・消滅という技術がある。分離には工程の研究開発が必要。原子炉または加速器で核変換して燃やす技術では、熔融塩炉が有利。もんじゅ型の原子炉はサイクルを回すのにディレイタイムが大きい。すなわち炉心から取り出したセラミックスペレットを溶液にして化学処理する前段がいるが、工程に入る前に冷却期間(年のオーダー)が必要。つぎに、分離した元素を入れた粉末をセラミックス焼結してペレットに加工し燃料棒に入れる、燃料棒加工が不可欠。このひと周りのディレイタイム(待ち時間)は年単位で、現実に処理するには無理があり、実現性はない。はじめから液体の熔融塩をつかう炉では、燃料加工工程が不要であり、分離・消滅処理において理想的な姿である(注3)。

質問)トリウム熔融塩炉は、なぜ採用されなかったか?

答え)トリウムは核兵器・核弾頭の大量生産に不向きであったことが最大の理由。もうひとつは炉の方式が在来の(オークリッジと対立するアルゴンヌ国立研究所や、海軍炉の研究所など)の技術者には別世界。すなわち軽水炉では一本一本の燃料棒(被覆管の中のセラミックスペレット)に燃焼してできた放射性物質を閉じ込めている。熔融塩炉ではそれが熱交換器やポンプの部分を循環するので、別世界だという意識があった。

但し、熔融塩炉では燃料棒はないが、被覆管のかわりに(熱交換の)機能をもった罐(缶、格納容器、あるいはループ配管)に閉じ込めていると見れば良い。密閉システムのメンテナンスフリー技術は十分実現可能。例えば原子力艦船では、炉の蓋を20年近く(ジョージ・ワシントンでは17年)開けず運用する技術が確立している。





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